DV夫が子供に加える悪影響

【深刻化する虐待問題】夫婦間の面前DVが子供の心を蝕む理由

面前DV

2019年、2月。千葉県野田市のマンションで小学4年の栗原心愛(みあ)さんが、父親である勇一郎容疑者の虐待によって死亡した痛ましい事件が起きました。同様の残酷なケースが跡をたちません。

その共犯として母親であるなぎさ容疑者も逮捕されましたが、以前より夫である雄一郎容疑者からDVを受けていたという証言も。

「どうして虐待を止めなかったのか?」DVと虐待の問題が全国で議論されています。

その一方で、厚生労働省によると、全国の児童相談所(児相)が2017年度に対応した児童虐待の件数は、27年連続で過去最多を更新しました。

しかし、児童虐待は年々増加しているものの、「新しい虐待」も増えていると言われています。

それが、面前DVです。夫婦間の中で起きるDVも児童虐待に繋がり、子供に大きな影響をもたらします。

新しい虐待『面前DV』とは?

2004年に改正された『児童虐待防止法』で、18歳未満の子どもの目の前で配偶者や家族に対して暴力をふるうこと(DV)を心理的虐待と認定されました。

この心理的虐待を『面前DV』と読んでいます。

児童相談所への児童虐待通告数が年々増加していますが、その相談内容に着目してみると、2016年度の集計データでは通告の約半分が『面前DV』という結果も出ています。

これが何を意味するかというと、児童虐待とDV(家庭内暴力)は同時的に起きており、DVをふるう加害者は、児童虐待をしている可能性が高いということ。

しかし面前DVは、直接暴力を受ける幼児虐待ではありません。では、面前DVは子どもにどんな影響をもたらすのでしょうか?

面前DVは子どもにどんな影響を与えるのか?

子どもにとって、母親、父親が世界のすべてです。

面前DVより直接的な虐待の方が精神的ダメージが深刻だとされていますが、子どもは、世界のすべてである『家庭内』で起きる争いを処理する能力をもっていませんよね。

面前DVを経験した子どもは、成人しても当時の様子がフラッシュバックしたり、PTSDを発症したりする可能性が高いと言われています。

精神が安定せず、人間関係をうまく作れない。または暴力を振るう姿を目にしているからこそ、自分の意見を通すために他人に暴力を振るうようになるというケースもあるのです。

こういった心理も、面前DVがもたらす影響といえるでしょう。

本来安心できる場所である家庭で、暴力・争いが日常的に起きている。この状態が子どもの成長にとってよくないことは、どんな方にでも理解できると思います。

DVを受けている親、虐待リスクがある子を守るには?

配偶者からDVを受けている親。そしてそれを見ている子ども。

こういった親子を守るために、私たちには何ができるのでしょうか?

栗原心愛(みあ)さんが亡くなった事件も、面前DVからエスカレートした虐待だと考えられます。

日常的に暴力を受けている母親。そしてその刃は子どもにまで及び、DV・虐待ともども深刻化する。このような悲惨な事件を予防するためには、まず周囲の力が必要です。

というのも、DV被害者は日常的な暴力によって正常な感覚を失っています。今回のケースで「母親が見過ごしていたのも虐待になるのでは?」という意見もありましたが、数年にも及ぶ暴力の中で、母親のなぎさ容疑者が子どもの虐待を止めることができたのでしょうか?

少なくとも、そうであるなら子どもと一緒に逃げる選択ができていたはずです。

そして沖縄から千葉へ移り住む前も、何度がDV、虐待の相談や周囲の心配があったことが明らかとなっています。

だからこそ、私たちにできることは「DV被害、虐待被害を受けているかもしれない……」と感じたとき、相談機関へ連絡する必要があるのです。

今回のケースではDV相談機関、児童相談所、警察、行政の連携ができている状態での通告があれば、まだ結果が違ったのではと思えます。

なぜなら、児童相談所もDV相談機関も『相談機関』だからこそ、警察への通告と連携を強化していかなければならないのです。

まとめ

相談機関、行政との連携に対する課題は山積みといえるでしょう。

それぞれの機関がそれぞれの状況を把握できていたのなら、心愛さんは命を落とすことがなかったのでは……?

私たちが今するべきは、事件の分析だけじゃなく、虐待やDV被害者を救う、守る仕組みを作ることなのではないでしょうか?

そしてもし、今あなたの周りで不信を抱く家庭があるなら、相談機関と警察と行政へ、それぞれ通告してください。それぞれの連携が取れていない今、周りの人ができることは、相談機関任せにせず、動いてくれる機関を探すこと。動いてもらえるように措置をとること。

DVも虐待も、年々『目には見えない形』で悪化しています。

あなたの「もしかして」が幼い命を守ることもあるのです。

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